歯がしみるようになってきたら

「むし歯かな?」と感じるのは、冷たいものを食べたときなどに、歯がしみて痛みを感じたときです。このときは、すでに、エナメル質の下の象牙質が露出しています。
ここで重要なのは、むし歯のために露出してきている象牙質の部分に細菌がたくさんいるかどうかということです。
できれば歯は削りたくないのですが、細菌がたくさんいる象牙質は原則として取り除かなければなりません。
象牙質を溶かす薬を使って、削らずにかき出す方法もあります。器機を使わずに、小さな耳かきのような道具(スプーンエキスカ)でかき出します。時間はかかりますが、余分に削らなくてすむので、歯のためには丁寧な処置と言えます。

●歯を削らなければならないとき
ドリルでガリガリ削られたのは昔の話です。
浅いむし歯の穴については、細かい金属の粉を吹き付けて削るエアブレイシブテクニックや、レーザーの熱で感染した部分を処置するなど新しい方法が用いられるようになってきています。
また、空気の圧力でやすりを高速に回転させるエアタービンは、高速で効率よく削ることができるので不快感は少なくなっていますし、超小型モーターを使うマイクロエンジンハンドスピードは低速回転で力があり、安全に丁寧に削ることができます。
できるだけ削らない、必要最小限に削る、これが大事です。

●歯を詰めなければならないとき
エナメル質の下の象牙質にまで感染している場合、そこを削って、ここに詰め物(インレー)をはめこんでセメントで固定したり、削った穴の底を保護して金属の練り物(アマルガム)を詰めるのが一般的な治療でした。
現在、象牙質の傷口をふさいでつめものをくっつける接着材が開発され、治療法が大きく変わりました。
感染した歯の組織だけを必要最小限に削るだけでよくなったのです。その傷口に接着材が浸透して傷口をふさいでくれます。そこにプラスチック(コンポジットレジン)を詰めます。
歯に詰めるプラスチックの材料も進歩しました。こすれあって磨耗しにくい、天然の歯とそっくりの色。形がつくれるプラスチックが開発されています。