嚥下障害の原因とメカニズム

嚥下って何?

私たちは、毎日の生活の中で何気なくおいしい飲み物や食べ物を口の中で味わい、それをゴクンと飲み込んでいます。ものを食べる動作は、食べ物を「認識する」「口に入れる」「噛む」「飲み込む」という動作の繰り返しです。この「飲み込む」という動作を「嚥下(えんげ)」と言います。

実は、簡単なようで、とても複雑な神経と筋肉の働きが絡み合って行われているのです。

 

嚥下障害とは?

嚥下障害とは、病気によって物を「飲み込む」機能が制限されてしまう障害です。人によって変わりますが、代表的なものには食事に時間がかかる、食べるとむせる、飲み込めない、食べ物がつかえる、などの症状がでます。

また、食事がうまく取れないことにより、体重が減ってしまったり、脱水症状を起こしたり、飲み込んだものが気管に入ってしまう(誤嚥)などの、2次的なリスクも発生してしまいます。ただ、食事がとれないだけではなく、嚥下障害が他の病気や障害のきっかけとなることもあるのです。

 

嚥下障害のメカニズム

食べ物は口に入るとまず噛み砕かれて、唾液と混ざりあい、飲み込みやすい形に変わります。次に、喉の方へ送り込まれゴクンという動きとともに「咽頭(いんとう)」(喉の奥の部屋)を通過するのです。飲み込まれた食べ物はその後、食道に入り胃に運ばれます。

まとめると食べ物が胃に運ばれるためには、以下の3つの空間を通る必要があります。

・口

・咽頭(喉の奥の空間)

・食道

 

ここでキーとなるのは、「咽頭(いんとう)」です。咽頭は、鼻や口、食道、気管(肺へ続く)につながる4つの入口があります。よく、小さい子が驚いたりして鼻から牛乳が出てしまう光景がありますが、それは口と鼻が喉の奥でつながっているから起きてしまう現象です。

呼吸をするために喉の奥では、気管と肺につながる窓が常に開いている状態となります。食べ物を食べるときだけ、食道の入り口が開くのです。

空気を取り込む入口と、食べ物を取り込む入口を開けたり閉めたりしながら、上手に呼吸したり飲み込んだりしています。ですから飲み込む瞬間は、話すこともできませんし、息も止めなければなりません。

口から胃までの間に、いろいろな筋肉と神経がそれぞれの役目を果たしながら、食べ物を運んでいますが、その途中のどこかで必要な動きが取れなくなると、嚥下障害となってしまいます。

 

嚥下障害の原因

大人になってからの嚥下障害の代表的な原因は、2つに分けることができます。

 

①構造的な原因

口や咽頭、食道などに出来物(腫瘍など)ができて通路を塞いでしまう。構造自体が破壊されてしまった場合。

②機能的な原因

(加齢などで)筋肉の力が落ちてしまったとか、神経と筋肉がタイミング良く働かなかったりする場合

 

食べ物が口からボロボロこぼれて喉に送り込めない、飲み込もうとしたら鼻から逆流して出てきてしまった。むせて食べられない。食べた物が胸につかえて苦しい、などの症状がある時は専門の医師に原因を診断し、適切な治療を受けなければなりません。

 

誤嚥性肺炎とは?

飲み込む(嚥下機能)が低下すると、呼吸や飲み込み時にそれぞれの入口の開け閉めがうまくいかず、飲み込んだ食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入ることがあります。そのことを誤嚥(ごえん)と言います。高齢になるとはっきりした症状がなくても身の体力がおち、嚥下に関係する器官の機能も低下するため、誤嚥が起こりやすくなるのです。口の中や咽の奥に少量の食物が残り、そこに細菌が繁殖して、しばしば寝ている間に唾液と一緒に気管や肺の方へ入っていきます。誤嚥性肺炎とは、口の中に残った汚れや細菌が、間違って肺に入ってしまった時に、炎症を起こしてしまうことを言います。もし歯周病があり、口の中がプラークだらけの状態だと、歯周病がそのまま肺に感染してしまい、誤嚥性肺炎を引き起こします。

 

また、ひどくむせたり、咳き込んだりすることでも肺炎などの原因になります。

さらに、若い時には咳き込むことで、気管や肺から食物がすぐ排泄されてしまうのに、感覚が鈍くなって誤嚥したものがそのまま残ってしまう事があります。

 

高齢となったおじいさんやおばあさんがいる方は、嚥下機能が低下している方も多いと思います。間違って、食べ物を気管に入れないよう気を付けてくださいね。特にお食事ではゆっくり落ち着いて食べるように促してみてください。

 

上手に食べられない、飲み込むのが大変などの症状がある方は、専門家への受診をお勧めします。

 

 

ここプラザ若葉歯科は、川越市と坂戸市の境に近い場所にあり、最寄り駅である東武東上線若葉駅から徒歩2分の距離です。最寄り駅の反対出口には、女子栄養大学があり栄養学を学ぶ学生たちさんで活気あふれる地域となっています。

食べ物をおいしく、栄養満点で食べるには、食事内容も健康な歯も、上手な飲み込みもどれも等しく大切です。

 

今日も頂くご飯に感謝をしながら、味わって食べましょう。おいしい食事とおいしい生活は、密接につながっています!

プラザ若葉歯科は、みなさまのおいしい生活応援団です。お口や歯の顎について、少しでも疑問や質問があれば遠慮なくご相談ください。

 

プラザ若葉歯科、今日も元気に診療中です。