親知らずは、親知らずそのものの生え方や隣接する他の歯へ与える影響によって、抜いた方が良い場合、抜かなければならない場合があります。どこの歯であっても、歯を抜くのは患者さんにとっては一大事です。特に親知らずは、前から数えて8番目の歯です。お口の奥にあるし、生え方もひねくれていることが多いため、抜くのにもとても大掛かりとなり、治療後に、ものが食べられなくて苦労するのでは…と治療を引き延ばしている方もいるのではないでしょうか。
今日は、親知らずの抜歯と気になる抜歯前後のお食事のお話をします。
抜歯治療直後~当日
抜歯直後~2・3時間
抜歯直後2~3時間は、食べ物を食べることは控えた方が良いです!
抜歯後の出血は20~30分ほどで止まります。麻酔注射後2~3時間は、痛みだけではなく、温度や触られた感覚なども麻痺しています。熱いものに気が付かずに火傷をしてしまったり、自分の口や舌を咬んだりと、怪我をしてしまうこともあります。
治療部位と反対側の歯を使って噛めるので、絶対食べてはいけない、というものではありませんが、感覚が麻痺してしまっていることを忘れないでください。
転んで怪我をした膝にかさぶたができるように、お口の中でも同じように傷口を守るものが形成されます。それが血餅(けっぺい)とよばれる大切な覆いで、抜歯して穴があいた部分に血がたまって自然にできるものです。抜歯した箇所で物を噛んだり口を激しくゆすいでしまうと、この血餅が作られなかったり、十分な量ができない恐れもあります。抜歯直後2~3時間後は、最低でもお口の中はそおっとしておきましょう。
抜歯直後2~3時間、食べ物を避けた方が良い理由
- 感覚が麻痺しているため(麻酔効果)
- 歯の骨を保護する血餅が作られ始めるため
麻酔効果が切れた後の食事
抜歯当日は、傷が新鮮で柔らかくなっています。止血後は徐々にできていく血餅の働きによって、治療箇所が保護され、歯ぐきの内側(歯槽骨など)が守られます。抜歯当日は、まだ血餅は取れやすい状態となっています。そのため、固いもの、粘着性のある食べ物は、治癒に必要な血餅をはがしてしまう恐れがあるためなるべく避けましょう。
おすすめは、体にも心にもやさしい、おかゆや雑炊などの柔らかくスープ状の食べ物です。他にもゼリー状栄養飲料やヨーグルトなど、たくさん噛まなくても食べられる栄養のあるものを召し上がってください。
抜歯治療後の当日の食事のすすめ
- おかゆ、雑炊
- 柔らかい麺類
- 具の小さ目のスープ
- ゼリー状栄養飲料
- ヨーグルト
- すりおろしリンゴ
抜歯治療後数日間
抜歯後から2~3日は、傷口が安定していないため、治療部位とは反対側で食事をするようにしましょう。抜歯後の腫れがひどくない場合は、極端に硬い、辛い、香辛料がいっぱいなどのものを避ければ、通常通りのお食事をしていただいて、問題はありません。
しかし、親知らずの抜歯後翌日以降は、一般的には治療部位とその周辺が大きく腫れてしまいます。翌朝に自分の大きくはれあがった顔を見てびっくりする、という方も多いのではないでしょうか。腫れのピークは抜歯直後ではなく、抜歯後24~48時間です。顔が腫れてしまうことで、お口の中の筋肉も引っ張られ、口を大きく開けることが難しくなります。口が大きく開くことができないため、噛む動作も満足にできません。
個人差にもよりますが、顔の腫れが影響して当日よりも2日目の方が、食べられるものに制限がかかってしまうことが多いようです。基本的に通常のお食事ができれば問題ないのですが、お口の中に入らないものは食べられません。
親知らずの抜歯後数日間の食事のポイントは、食材がお口に入る大きさであることと、たくさん噛まなくても飲み込めるものであることです。野菜を煮込んでドロドロにするか、ある程度の硬さのままであれば食材の全てみじん切りにすることで、お口に入りやすい大きさになります。
抜歯治療後~数日間の食事のすすめ(柔らかいもの編)
- 柔らかい麺類(そーめん・うどん・即席めんも可)
―乾麺の場合は、半分に折ってから茹でると、食べやすい長さになります!- - リゾット
- 蒸しパン(チーズ蒸しパンおいしいですよね)
- すき焼き
- お野菜の煮物
- 豆腐のグラタン
- つけパン
- 豆腐
- 半熟たまご
- カレー(カレーは飲み物だ!という方もいますね)
噛み応えは、味だ!離乳食のようなものではなく、形があるものを食べたいという欲求も少しずつ出てくることでしょう。そんな方には、以下のおすすめがあります。
抜歯治療後~数日間の食事のすすめ(食材を小さく分けた編)
-
- 小さくちぎったバン
- すべての食材をみじん切りにした野菜炒め
- 小さく切り刻んだコロコロステーキ
(もうひき肉でいいじゃん!と突っ込まないでください。)
- ご飯(少しずつ)
- 細かくしたパスタ
- 小分けにしたケーキ
親知らずの抜歯も怪我と同様に、治療直後から治癒は始まっています。抜歯後2~3日後となれば、お口の中は、何を食べても受け入れてくれる状態になっています。しかし、腫れのために口が開かないので、大きなものを食べられないという方が多いのも事実。
小さくしたら何でも食べられるということが分かっていれば、食事制限のリミッターが緩和され、そこから来ているストレスも減るかもしれません。
親知らず抜歯治療後の食事のポイントとコツ
治療が片側だけであれば、止血後、麻酔が切れてからの食事には、実はほとんど制限はありません。抜歯治療側と反対側の歯を使って、お食事を楽しんでください。と言いたいところです。しかし、親知らずの抜歯後は顎が腫れてしまい、食べ物が1週間~2週間ほど、満足に食事ができないという方が多いですよね。
ポイント
- 抜歯後2~3時間は、食べ物を食べない
- 噛むときは治療側を使わない
口を大きく開けないときの食事のコツは以下の3つです。
口が大きく開くことができないときの食事のコツ
- 液体にする
- ドロドロにする
- 細かくする
スープやゼリーなどの流動食のようなものだけだと思うと、制限がありすぎて、ストレスに感じるかもしれませんが、野菜を細かく切ったものでも、お肉を切ったものでも、魚でも、ケーキでも、小さくてお口に入るものであれば、何でも食べられます。これを機に、料理のレパートリーを広げるチャンスとして考えてみてはいかがでしょうか。
腫れにくい親知らずの抜歯
親知らずの抜歯後に腫れにくくするポイントがあります。
患者さんができる抜歯後に腫れないためのポイント
- 体調を整えること
- 抜歯後に安静に過ごすこと
風邪を引いていたり、疲れがたまっている状態だと、免疫力が低下しているため、傷口と戦う体の力も減ってしまいます。そのため、体が良い状態で抜歯を行うように、体調を整えておきましょう。
そして、抜歯後はスポーツをしたり、お酒を飲んだり、お風呂にゆっくり浸かったりと、血行の良くなる、血の巡りが激しくなることは禁物です。血の巡りがよくなるだけ、抜歯箇所にも血がめぐっていき、腫れや痛みが大きくなってしまいます。
歯科医院が見せる技術力としての腫らせないポイント
- 患部の状態を見極める(炎症の有無)
- 傷口(侵襲)を最小限に抑える
傷口を触ったら痛みがあるように、炎症が起きているところを処置すると、痛み腫れも大きくなってしまいます。治療部位の状態は、診療時に確認できるので、炎症をコントロールした状態で患者さんの抜歯の予定を決めるのが通常です。
そして、最大のポイントは、傷口(侵襲)をどれだけ最小限に抑えることができるかにかかっています。外科処置で体に与えるダメージをどれだけ小さくできるかが、歯科医院の腕が試されるところです。外科治療のため、全く傷をつけないで治療することはできません。ですが、切開を小さくしたり、骨を削る量を最小限にして患者さんの負担をどれだけ減らすことできるか、ここが歯科医の技術力なのです。医学用語でいえば、侵襲を最小限に抑えることで、抜歯後の腫れ・痛みは大きく抑えることができます。
抜歯の痛みやリスクについてはこちらにも詳しく書いてあります
当院で抜歯した箇所は、完全に塞がっていないものの、大きく腫れることがないため、食事制限もほとんどありません。抜歯した方と反対側の歯で噛めるので、何でも食べられます。(当院で親知らずを抜歯した後、数時間後にビックマックを食べたという患者さんも!)抜いた箇所にできる血餅が、剥がれてしまわないようにくれぐれもご注意くださいね。
私たちプラザ若葉歯科は、「親知らず抜歯治療」に定評があります。
抜歯時の傷口(侵襲)を最小限に抑えることができる為、当日はもちろん翌日・翌々日も腫れることはありません。(嚢胞や炎症などない場合)
抜歯後の腫れの有無は、歯科医の技術にかかっているのです。
ぜひ、あなたの信頼できる歯医者さんを見つけてください。
地域No.1の歯科医を目指す、プラザ若葉歯科は今日も診療中です。