唾液の働き

食べ物を細かくして、消化器官に送り込むのが歯の働きのひとつですが、唾液はその助けになります。唾液の働きはそればかりではありません。
●洗浄作用
唾液には歯の表面を洗い流す作用があります。
●保護と修繕作用
唾液には、カルシウム、リン酸、フッ素イオンなどが含まれていて、歯のエナメル質を修復する再石灰化を促します。
●緩衝作用(中和する働き)
唾液には、重炭酸が含まれていて、細菌などによって作り出された酸を中和して、中性に戻す働きがあります。だから、歯の表面が唾液に触れている間は、むし歯の原因となる酸が中和され、むし歯にならずに済むのです。それ以外にも抗菌作用や、消化を助ける、発音や会話をスムーズにするといった働きもあります。
がんや動脈硬化の原因ともいわれる活性酸素を消去する働きがあることも分かってきました。このように唾液はとても重要な働きをしているのです。

薬などが原因で唾液が出にくくなることがあります。
血圧を下げる薬、かゆみなどを抑える抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤、胃腸薬、うつ病の薬の中に、副作用としての唾液の分泌量が減るものがあります。
また、緊張したときなどに、口の中がカラカラになることことでも分かるように、ストレスも唾液の量に影響を与えます。
唾液の量が減ると、量の問題だけでなく、その質にも影響を与えます。口の中の酸を中和する力(緩衝能)も低下してしまいます。
●対策
唾液を十分に出すことです。それには食べ物をよく噛むことが一番です。噛むというとよく固いものを噛めばいいのか、と誤解する人がいますが、噛む回数を増やすことです。一口30回ぐらいは噛みたいものです。
薬によっては、唾液が出にくくなるものがありますので、服用している薬の副作用にも注意してください。
甘いものを食べると口の中には酸に傾きます。砂糖を取らないようにすることも、唾液の質を高めるうえで重要です。