赤ワインのポリフェノールが歯に与える影響と体に与える効果

歯与えるポリフェノールの影響と身体に与える効果

 木々の葉の色も少しずつ深まり、人も自然も冬に備えての支度が始まる季節となりました。食べ物も飲み物も美味しさを増し、今年収穫したブドウから醸造された赤ワインがフランスのボジョレーから届きます。ボジョレーヌーボーは、今年の解禁日は11月17日(毎年11月の第3木曜日)です。心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。

 今日は、せっかくのワインをより楽しく味わってもらうために、ワインと歯の関係にフォーカスしてみたいと思います。

1.ワインのポリフェノール

 ポリフェノールとは、植物が紫外線や乾燥、害虫や菌など外的な刺激から身を守るために作り出す色素のことです。紫外線から種子を守るため、抗酸化物質も多いことから注目されています。多くの種類があり、緑茶のポリフェノールの代表はカテキン、大豆のポリフェノールの代表はイソフラボン、それぞれに名前がある場合もあります。 ワインに含まれる代表的なポリフェノールにはアントシアニンや、タンニン、レスベラトロールというものがあります。それぞれによい働きがあるので、簡単にまとめます。

 ただし、タンニンは鉄イオンと結びつきやすく、多く摂取すると貧血になりやすいので、鉄分のバランスを考えながら、摂取してください。どうしてもたくさん摂取するときは、鉄分の王様であるひじきとレバーをおつまみにしてください。

 ポリフェノールは全般に抗酸化力が強いため、継続的に摂取することは、健康にとって多くの良いことがあります。特性として水に溶けやすいため、摂取してから取り込まれるまでは早いですが、蓄積しないので、習慣として取り入れていくことが健康のためのポイントとなりそうです。

2.ステイン(着色汚れ)に注意

 ポリフェノールと歯の着色は切っても切れない関係にあります。なぜならポリフェノールは色素そのものだからです。つまり、赤ワインを飲むことは、たくさんの色素をお口の中に入れているということ。

 歯の表面は、ペリクルという薄い膜で覆われています。ペリクルは膜として歯を守る役割がありますが、一方で色素を吸収しやすいという性質があります。服についた醤油の染みのように一度の摂取で色が付くわけではないですが、徐々に蓄積されていくので、気が付かない場合も多いかもしれません。ほんの少しの汚れがペンキで塗り重ねられるように蓄積するため、気づいたころにはなかなかとりづらい頑固なものになってる場合もあります。しかし、頑固な汚れになるまでには時間がかかります。毎日丁寧に正しく歯を磨けば、くすみや染みを予防していくことは可能です!

3.ワインのpH指数は酸性!

 あまり知られていないことですが、ワインのpH指数は2.9~4弱とかなりの酸性。レモンpH2.3、お酢pH2.8、グレープフルーツpH3.2などと比較しても、酸性度合いが高いことがわかります。他にも、コカ・コーラを代表とする炭酸飲料や、カルピス、ポカリスエットも酸性の飲み物です。

 酸性度が高いということはお口に入れている時間が長いと、歯が酸によって溶かされてしまうということです。それを酸蝕症(さんしょくしょう)といいます。一度で多く溶かされるのではなく、数カ月や数年にわたって少しずつ溶かされていくのが一般的です。症状としては、虫歯もないのに歯が凍みるようになります。

 普段の飲食でも、食べ物や飲み物を摂取するたびにお口の中は酸性に傾いています。それを、唾液の力で酸性のお口の中を緩和し、食事が終わるたびに中性に戻してくれているのです。食事のメリハリをつけてだらだら食べをしないようにしましょう、というのも、歯が酸に触れる時間を少しでも短くするためです。

 ワインは甘く、美味しいため、ゆっくりまどろみながら時間をかけて味わいたくなってしまいますが、そんな酸性の飲み物を夜通し飲み続けるなんて言う行為は、歯を拷問にさらすようなものです!

 実際にワイン製造業として働く方を対象とした酸蝕症についての研究もされています。そこでは研究対象の95名のうち31名(32.6%)に酸蝕症が見られたという結果が出ています。ワイナリーなどでは、業務上ワインの試飲などをする機会が多いです。すぐ飲み込まずに、お口の中で長く滞留させる飲み方をするため、歯が酸に触れる時間が長いことが酸蝕症の発生の原因となることが想像できます。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/josh/13/2/13_JOSH-2020-0003-TA/_pdf/-char/ja

 ワインは秋の楽しみの一つ、体に良い面もたくさんある一方で、着色汚れや歯を溶かす要因の一つにもなります。ワインをいつまでも楽しむために、ワインの特性をよく知り、メリハリを持って味わっていけたらよいですね。

 木々の葉の色づきと同様に、歯のステインもいつの間にか進んでいます。ワインだけではなく、コーヒーやタバコ、カレーなど色の強い食べ物でも着色汚れはつきます。着色汚れや歯が溶けてしまう酸蝕症など、気になる方はぜひお近くの歯医者さんへご相談ください。

 プラザ若葉歯科でもステインを落とすクリーニングやホワイトニングなどを行っております。その他のお口の問題についても、ご相談承っております。

 プラザ若葉歯科は、どんなときでも歯を大切にしたい方の応援団!!お口に関わるどんなことでも、ご相談お待ちしております!