やっぱり痛いの?親知らずの抜歯

歯の奥にいつの間にか生えてくる親知らず。通常の歯と違って、親知らずは20歳前後になってからやっと生えてきます。厄介なのは、この歯は虫歯や歯周病の原因になったり、トラブルが起きる可能性が高いことです。

親知らずの抜歯が必要となった時は、特に抜歯と処置後の痛みや腫れについて心配になるのではないでしょうか。本日のテーマは、みなさんが1番知りたいであろう「親知らずの抜歯は痛いかどうか!?」です。

1.親知らずの抜歯が推奨されるケース

勘違いされている方が多いのですが、「親知らず」は不要な歯ではありません。絶対に必要というわけでもありませんが、正しく噛み合わせができていれば、あってもよい歯なのです。

では、どのような基準で親知らずを残すのか、抜いたほうがいい場合の基準はどこなのでしょうか。多くの医院では、親知らずが原因で起きるトラブルの可能性の度合いで判断します。

親知らずの抜歯が推奨されるケース

  • むし歯・歯周病の原因になる場合
  • かみ合う歯がない・正しい咬み合わせができていない場合
  • 生える方向が正常ではない場合
  • 異常な形状になっている場合

むし歯・歯周病の原因になる場合

親知らずは、一番前の歯から数えて8番目の歯です。お口の中でも一番奥にあります。そのため、きれいな歯並びであっても、歯磨きなどが行き届かずに、磨き残しが多くなってしまう部分でもあります。歯並びに重なる部分が多かったり、陰になってしまう部分があれば、そこは菌が蔓延してしまう場所となるのです。

むし歯は、歯を溶かし、歯周病は歯ぐきと内側の骨を溶かしていきます。どちらも磨き切れなかったお口の中の細菌を元に、症状が進行していきます。親知らずのせいで、どうしても磨けない部分は、細菌が溜まりやすくなってしまう場所でもあるのです。

親知らずの周囲では、そのようなリスクが高いことが初めからわかっているので、虫歯や歯周病などの病気が進行しないように、あらかじめ予防することができます。特に他の歯と重なっている部分が多い方、親知らずの一部だけ表面に出てきているという方には、抜歯をお勧めしています。

かみ合う歯がない・正しい咬み合わせができていない場合

歯はどんなにたくさん食べ物を噛んでも、歯ぐきの中に埋まっていきません。それは、上の歯ならば、歯が上の歯茎に埋まらないように、下へ下へと向かうわずかな力が働くのです。上の歯ならば下へ向かう力、下の歯ならば上へ向かう力がそれぞれ働きます。

上下の歯がそれぞれ、反対側へ反発する力があるために、歯の位置が上にずれたり、下にずれたりすることなく、上下の位置を維持することができています。

親知らずは人によって、表面に生えてきたり、埋まったままだったり状態は様々です。上の親知らずは立派に生えているのに、下の親知らずは生えないという場合もあります。上下ともに親知らずとぶつかる咬み合わせの歯がない場合は、歯が伸びていく力のバランスを調整する相方がいないことになります。そうすると、反対側に反発する力ばかりが働き、歯が口の中に少しずつ露出していき最終的には歯が抜けてしまいます。

生える方向が正常ではない場合

親知らずが横向きになっていたり、斜めに生えてきたりする場合があります。また、ほんの少しだけ表面に顔を出したままの人もいます。

親知らずが真横に生えていると、親知らずの手前の歯を押してしまいます。そのことにより歯並びが悪くなってしまうだけでなく、押されている歯の根っこが浸食され、溶かされてしまう(骨吸収)こともあります。歯の根が少しずつ溶けていくと、歯を丈夫に支える力も減り、歯の寿命が縮かくなってしまいます。

正常に垂直に生えていない親知らずは、他の歯へ及ぼす悪影響が大きく、お口と歯を健康に保てないリスクがとても高くなってしまうのです。

自分の親知らずの生え方に悪影響あるかどうか気になる場合はこちらの記事もご参照ください

埋まっている親知らずは放置していいの?

2.年齢別の抜歯リスク

20代をピークに体の機能は少しずつ衰えていきます。唾液量が減るために、必然的に歯周病のリスクは高まりますし、新陳代謝のスピードが緩やかになっていくために、怪我の治りなどにも時間がかかってしまいます。

親知らずが生えてくる20歳前後以降の、年齢別の抜歯リスクを考えてみたいとおもいます。

20代

体も健康で、徹夜も平気だった20代はあっという間に過ぎます。怪我や体の疲れなども、すぐに回復できるのがこの時期です。親知らずの抜歯を考えているのなら、できるだけ早いうちに専門医の診断を受けることをお勧めします。それは、親知らずが正常に生えていない場合、他の歯や周囲へ及ぼす悪影響が少ないうちに、処置できるためです。

また、傷の治りも早いため、痛みや腫れも比較的早くなくなります。

親知らずの抜歯は、20代のうちに行うことがお勧めです。

30~40代

某CMでも言われているように、30代以降は80%以上の人が歯周病となっています。それは、唾液の分泌量が減ってしまうことに原因があるのですが、自然の摂理であるため、どうしようもありません。唾液が減るとお口の中の菌に留まる菌に対する抵抗力が減ってしまいます。お口全体の歯周病のリスクが一気にあがるのです。親知らずの周りは、磨きにくいところが多く、細菌の住処になっています。歯周病の進行が加速しはじめる時期のため、歯茎が腫れたり、口臭を発生させてしまうのです。

体の成長が落ち着き、骨や歯がしっかりと固まった状態であるため、抜歯の際に時間がかかってしまいます。抜歯の時間が長く難易度が高くなると、手術される方の侵襲(手術など受ける際のダメージ)が大きくなります。その分、傷の回復が遅れ、痛み・腫れが続いてしまいます。

50代以降

50代以降は、30代の時のリスクに加え、糖尿病や心臓病・高血圧などその他の疾病が出てきます。また、体力的にも衰えてくるころなので、20代・30代の頃と比較すると、傷の治りなどはさらに長引いてしまいます。

また、親知らずが原因で起きるリスク、虫歯・歯周病などが進行している場合が多いため、抜歯自体が大掛かりになる可能性が高まります。50代以降になって検討し始める抜歯は、手前の歯(7番目の歯)のひどい虫歯や歯周病の悪化などで、症状が出始めてからという場合がほとんどです。痛みや腫れなどの自覚症状がある場合は、病状が進行しているため、抜歯だけではなく、その他の治療・処置が必要となります。

定期的な検診やクリーニングに行っている場合を除いて、年齢を重ねた後の抜歯には、リスクが伴うということをお知りおきください。

3.親知らずとそのほかの歯との抜歯の違い

歯を抜くことは、乳歯の生え換わり以外、少なからず体に負担を与えるものです。正常に生えていたと考えるときの抜歯の難易度をお示しします。わかり易いように例として、抜歯の難易度をマリオの敵に当てはめて考えてみましたので、ゲームに詳しい方は参考にして下さい。

易しい 上の前歯 (クリボー)
下の前歯 (ノコノコ)
中くらい 上の臼歯 (ゲッソー)
下の臼歯 (プクプク)
難しい 上の親知らず (ハンマーブロス)
もっと難しい 下の親知らず (テレサの集団)

超難症例:その他のやっかいな生え方をしている親知らず (上の敵が全部登場)

通常、歯が埋まっている顎の骨は、下の方が硬いため、抜歯の時もより大きな力が必要となります。そのため、同じ前歯や同じ臼歯だとしても、上の歯よりも下の方が抜歯の時に余計に力が必要となるため、難易度も必然的に高くなります。

また、自分の歯でも奥の歯のケアは難しいように、歯科医師・衛生士にとっても奥の歯の処置の難易度は高くなります。

親知らずは狭いお口の中の最深部といっても過言ではありません。手の届きづらい奥にあること、そして多くの場合正常に生えていない奥歯の親知らずの抜歯は、テレサが100匹以上いる面を小さいマリオでクリアするほどの難易度があります。

4.痛みの度合いと、痛みの目安期間

それでは、本題です。親知らずの抜歯は特別痛いのでしょうか!?答えはNOです。

正常に生えている親知らずの抜歯では、その他の奥歯の抜歯と痛み・腫れの度合いは大きくは変わりません。親知らずの抜歯後の痛みが収まらない!!腫れがなかなか引かない!!というのは、歯科医の技術と症例の難易度によるものが大きいのです。

通常は親知らずの抜歯後は、2~3日痛みと腫れが続きます。特に骨が固くい下の親知らずだったり、難易度が高い症例場合は1週間程度です。歯茎の切開や骨を削る作業がある分、腫れと痛みの具合は変わっていきます。真横に生えていたり、半分埋まっていたりなど、抜歯の難症例となる親知らずの割合は、比較的高いです。難しい症例ほど、手術時に歯の周囲に与えるダメージが大きくなってしまうのは必然です。年齢を重ねたときのリスクも加ると、治りや痛みが引くことが早いのは若いうちです。

簡単な言葉でまとめると、「親知らずの抜歯の痛みと腫れは、難易度+年齢のリスクで変わる」ということです。

私自身も、親知らずは20代の頃に全て抜いています。痛み止めの薬の効果が切れて感じる、ボディーブローのように、重くてずっしりした痛みは耐え難かったのを覚えています。抜歯は麻酔をしているとはいえ、体に傷をつけていることには変わりません。

繰り返しになりますが、痛みと腫れの度合いは先生の技術によるところがとても大きいのです。難しい症例の場合、大学病院の口腔外科を紹介されることもあるでしょう。でも、近くのかかりつけ医院の技術が大学病院と同じくらいのものであったら、どうですか?

そうです。プラザ若葉歯科では、地域に根差した医療でありながら、大学病院で行うような難症例の親知らずの抜歯を行うことが可能です。大学病院の口腔外科勤務経験のある院長がいるからです。難しい症例を、傷を少なく治療することが当院の目指すところであり、自信を持っているところです。

親知らずの抜歯に定評のある、プラザ若葉歯科へ一度ご相談にいらっしゃいませんか。

スタッフ一同お待ちしております。