歯周病には和食が良い!

歯を失う原因の第1位となっている歯周病。メディアやCMなどでも取り上げられているので、認知度も徐々に広がってきているようです。実は、歯周病の予防、進行予防には和食がお勧めです。その理由をご紹介しましょう。

1.歯周病のメカニズム

歯周病について、簡単に復習をしてみます。お口の中はケアをしないと、どんどん悪い菌が増えていきます。歯周病菌も含めて悪い菌の総数が増えると、体の免疫力によって悪い菌をやっつける力が働きます。歯周病菌の数が一定以下であれば、この免疫力によってお口の中を守ることができるのですが、それ以上に増えてしまうと、悪さを働くすべての菌の退治ができなくなるのです。歯周病においては、この免疫力がキーとなります。実は歯周病は歯周病菌が、歯茎や顎の骨を溶かしてしまうのではないのです。
お口の中の免疫力だけで抵抗しきれなくなると、歯周病菌は歯にくっつきます。そして、今度はこの免疫力が、歯にくっついてしまった歯周病菌をやっつけようと、歯そのものを排除しようとして、その周りを攻撃し溶かし始めるのです。これが歯周病です。

2.歯周病に良い食べ物

歯周病にとって良い食べ物とはどんなものがあるのでしょうか。次の視点から考えてみます。

(1)免疫力を高める食べ物

お口の中だけでなく、免疫力は体全体にとってとても大切な力です。免疫力の維持には、適度なスポーツやストレスを減らすことなど、生活習慣の全てが影響を与えます。特に食べ物で、免疫力を高めるには、「食物繊維」と「発酵食品」が良いようです。

免疫力を高める食べ物

  • 根菜類(ゴボウ、レンコン、にんじん)
  • 穀物
  • キノコ
  • 発酵食品(納豆、味噌、漬物、キムチ、ヨーグルト、チーズ等)

免疫力が力を蓄えるのは腸です。食物繊維は、穀物、野菜、果物、海藻、キノコ、豆に多く含まれています。特に、ゴボウや豆がお勧めです。また、野菜、キノコ、豆などは生のまま食べるより、火を通したもののほうがたくさんの量を取ることができます。
また、体を温める食べ物(生姜、玉ねぎ、ニラ、ニンニク、レンコン、鮭など)も免疫力を高める作用があります。平熱が低い人は、免疫力が低下している可能性も考えられます。

(2)お口の中の歯周病菌を抑える食べ物

歯周病菌はまだすべてが解明されているわけではありません。そのため、数種類の細菌の総称として歯周病菌と呼ばれています。いくつかある歯周病菌の菌株に対して、たまねぎの抗菌物質がよい効果を発揮するという研究結果があるそうです。

歯周病菌を抑える食べ物

  1. たまねぎ

また、食べ物に限らず、たくさん噛むことが歯周病菌を抑えることにつながるそうです。たくさん噛むにはやはり食物繊維を多く含むものが良いです。たくさん噛むことで分泌される唾液は、酸性に傾いたお口の中を中和させ、口内細菌を無力化します。お口の中を守るために、唾液はとっても必要な存在です。

(3)炎症を抑える食べ物

歯周病の始まりは、歯茎の炎症です。炎症が悪化していくことで、その周りの組織も傷つけてしまいます。炎症には根生姜(ねしょうが)が良いと言われています。根生姜は治癒効果のあるハーブで、抗炎症の作用があるため、歯茎の炎症そのものを防ぐ働きもあります。
体内に入った後に、炎症を抑えるものとしては、ネギ、ニラ、ニンニクなどの香味野菜、パイナップル、ナッツ類も炎症物質の産出を抑える働きがあるそうです。

炎症を抑える食べ物

  • 根生姜
  • ネギ
  • ニラ
  • ニンニク
  • パイナップル
  • ナッツ類

(4)歯周組織の生成に必要な食べ物

歯の周りの組織は、コラーゲンでできているため、コラーゲンの生成に必要な食べ物を多く食べることも歯周組織の回復に効果があるようです。コラーゲンの生成には、タンパク質(特にアミノ酸)、ビタミンC、鉄分が必須です。これらの栄養素が含まれる食べ物は、骨や歯茎の健康にも良い影響を与えます。

歯周組織の生成に必要な食べ物

  • 大豆製品(納豆、豆腐、味噌、醤油)
  • 根菜類

アミノ酸を多く含む食品には、豆類があげられます。日本人は大豆製品が大好きであるため、納豆や豆腐、味噌・醤油を摂ることで、日々アミノ酸は接種できています。
また、根菜類であるゴボウや大根、にんじんにはアミノ酸が多く含まれているだけでなく、コラーゲン生成に必要なヒアルロン酸も摂取できるため、効果大ですね。ちなみにコラーゲンは直接食べても、ほとんどコラーゲンとして生成されません!

これらを総括すると、食物繊維を発酵食品が歯周病にとって、よい働きをする食べ物ということになります。それらがバランスよく含まれているのが和食ですよね。特に、根菜類と豆には免疫力を高める働き、コラーゲンを生成する働きがあるため、バランスよく積極的に摂取することで、歯周病予防にもなり、歯周病の進行スピードの緩和にもつながります。

2.歯周病に悪い食べ物とは何か?

それでは、反対に歯周病にとって悪い食べ物とはなんでしょうか。

(1)免疫力を抑える食べ物

実は、免疫力を低下させる食べ物というものは存在しません。食べ物には、栄養素が含まれていて、それらが私たちの体を作っています。免疫力を高めるには、何よりもバランスの良い食事が必要なように、バランスの悪い食事をとれば免疫力を抑えてしまうことになります。極度のダイエットでの食事制限などからくる、栄養不足ももっての外です!

免疫力を抑える食べ物

  • カップラーメン
  • 冷凍食品

バランスの悪い食事としては、カップラーメンや冷凍食品などの加工食品ばかりを多く食べること、3食を規則正しく取らずにだらだらと間食を続けてしまうことなどがあげられます。これらも免疫力が低くなってしまう原因となります。自分で体を大切にする生活をしなければ、当然体の中も害に抵抗する力を無くしていくのです。
タバコ、睡眠不足も免疫力を下げる大きな要因です。タバコは栄養素を運ぶ血液の流れを悪くしてしまうのです。そして、睡眠不足により体力がなくなってしまうと、体内で菌と戦う力も当然なくなってしまいます。
これらの原因により、免疫力がなくなれば、抵抗ができなくなり、歯周病の進行スピードも速くなります。

(2)歯周病菌を増殖する食べ物

歯周病の根本的な原因は、食べ残しや磨き残しを原因にして作られるプラーク(歯垢)です。プラークを作りやすい食べ物が、歯周病菌を増殖させやすい食べ物となります。

歯周病菌を増殖する食べ物

  • パン
  • クッキー
  • チョコレート
  • 清涼飲料水

パン、クッキーなど炭水化物で柔らかくネバネバしているもの、飴やチョコレートなども糖を多く含むので、プラークを生成しやすい食べ物になります。清涼飲料水もお口にとって、糖が含まれているので、同様にプラークを生成しやすいものとなります。
食後にすぐ歯を磨くことや、水ですすぐだけでも大きな予防となります。

(3)炎症を悪化させる食べ物

歯周病は、歯茎の炎症から始まります。お口の中は、熱いものや辛い物が入っても、ある程度は対応できるように、刺激には強くできているため、ほんの少しの炎症では痛みはほぼ感じません。特に、歯周病は「サイレントディジーズ」(静かな病気)と言われていて、本人の自覚なく進行するのがほとんどです。
炎症がひどくなっても、痛みはほとんど感じないのですが、刺激を与えるような辛いもの、熱いものは、避けた方がよいでしょう。

4.免疫力を高める他の方法

歯周病は生活習慣病の一つとも言われています。若い世代に歯周病が少ないのは、若さからくる免疫力の高さが要因となっています。免疫力を高めることで、歯周病菌の害から私たちのお口を守ることができます。食べ物以外に免疫力を高める方法には、次のような方法があります。

免疫力を高める方法

  • 運動
  • ストレスをためない
  • よく笑う
  • 体温を下げない
  • 睡眠

免疫力とは、積極的に生きようとする力とイコールかもしれません。毎日を充実させて楽しんで生きると、体自身も生きるために必要な細菌と戦う力が蓄えられるのです。規則正しく生活し、バランスの良い食事をとることで、健康な体と健康なお口の環境も整えられていきます。
もちろん、食後の歯みがきは忘れずにいてくださいね。

歯周病にとって良い食べ物は、免疫力を高めてくれるもの、よく噛むことが必要なものであることがわかりました。日本人が昔から食べていた和食には、それらがたくさん含まれています。お味噌汁や豆腐・納豆をはじめとする豆類・加工食品、大根・にんじん・レンコンなど食物繊維が多く含まれる根菜類も和食には欠かせないものですね。
様々な視点から歯周病に良い食べ物を考えたので、結局何が良いのかポイントを絞れない方は、「歯周病には和食」と覚えておいてください。規則正しく、バランスよく、よく噛んで食べること、体の健康だけでなく、歯周病にとってもとても良い食事となります。

免疫力を高める食事を積極的に取って、いつまでも若々しく楽しんで毎日を送りましょうね。

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