歯を治しておかないとパイロットになれない!?

『大人になったら、何になりたい?』
おそらくだれもが一度は、子どもの頃に将来の夢を思い描いたことがあるのではないでしょうか。
その中でも昔から人気の職業である、空を飛ぶお仕事・パイロット!

パイロットになるためには、歯がとっても大切って、知っていましたか?
今日は、パイロットになるための「お口のお話」をします。
でも実は、飛行機で旅行する人にとっても、関係のあるお話なんです。

1、歯とパイロットの関係

航空従業者になるには、「航空身体検査」をパスすることが法律で決められています。この検査の中には「口腔および歯牙に関する基準」が設けられています。

その基準では、

・口腔や歯に重大な疾患や機能障害のないこと
・発声が不明瞭でないこと
・著しい不正咬合などがないこと
・上、下顎骨や口腔軟部組織の障害によって著しい痛みをともわないこと

など、あらゆる部分にわたって、細かい規定があります。
この基準だけを見ても、『パイロットになること』と『お口の状態』が、密接に関係していることがわかりますよね。

では、なぜパイロットになるためにお口の状態が大切なのか、具体的に見ていきましょう。

2、航空身体検査には歯の項目がある

上空では、普段の生活では気に留めていなかった歯が、突然痛くなってしまうことがあります。そして最悪の場合は、歯が破裂してしまう可能性まであります。
それはなぜでしょうか?
歯や身体のメカニズムと、空の上の環境には、切っても切れない関係があるのです。

気圧の変化で虫歯が痛む

飛行機に乗った時に、お菓子などの袋が膨らんでパンパンになった経験はありますか?これは、上空の気圧が低くなったことと関係しています。
飛行機内の気圧は約0.8気圧程度で、標高約2,000m(富士山5合目くらい)と同じ環境になり、空気が膨張するというわけです。
これは人間の身体にも当てはまる現象で、虫歯によって歯の中に溜まった空気が膨張したり、神経を刺激したりすることによって、強い痛みが生じます。(虫歯の状態や程度によって異なります。)
このように、気圧の変化により歯が痛むことを「航空性歯痛」といいます。

被せ物の隙間に空気が溜まる

たとえ虫歯の治療をしてあったとしても、歯と被せ物や詰め物の間に隙間ができていたり、しっかりと接着されていない場合にも、同じ現象が起こってしまう可能性があります。
外れそうな被せ物がないかどうか、事前に歯医者さんで確認してもらいましょう。

集中力を保ち、事故を防ぐ

パイロットは、人の命を預かるとても大変なお仕事です。だからこそパイロットには、高い集中力が必要不可欠です。地上では痛まなかった歯が、万が一上空で突然痛みだしてしまった場合、痛みに気が散って操縦がおろそかになってしまっては、とても危険です。
空の安全を守るため、パイロットは歯をきちんと治療しておくことが重要だとわかります。

3、適切な治療をすれば、パイロットになれる

以上のことから、パイロットになるには歯の状態がとても大切です。
ですが、身体検査の基準には、

・未治療のう歯(虫歯)、歯根のう胞、根尖膿瘍及び歯髄炎等は航空業務(気圧の変化)により新たな歯痛を発生させることがあるため、すみやかに治療を受けさせること。

という項目も含まれています。
つまり、過去に虫歯があっても適切な治療をしていれば、パイロットの夢を諦めることはありません。
幼いうちから身体やお口の健康を守ることは、お子さんの夢への可能性を広げることにもつながりますよね。

そしてパイロットだけではなく、飛行機に乗って旅行やお仕事に行く人も、ぜひ1度歯医者さんでお口の状態をチェックしてもらい、万全の状態で出発しましょう!