だんだん気温も高くなり、春の訪れを感じることも多くなってきました。4月から新生活を迎えるという方も多いのではないでしょうか?また、今年の春は3月にマスク着用が緩和されゆっくりと日常に戻っていく特別な春でもあります。ワクワクすることも多い反面、新しい環境でストレスを感じやすい時期でもあります。お口の中もとてもデリケートなので、ストレスや疲れで歯茎が腫れてしまうことがあります。
白い歯を引き立てるのは、ピンク色のきれいな歯茎!今日は、歯茎の腫れについてフォーカスを当ててみたいと思います。
目次
1.歯茎の腫れの原因
(1)プラーク(歯垢)とは
プラーク(歯垢)とは、お口の中にある細菌が歯に付着して繁殖した塊のことで、白いねばねばしたものを指します。プラークは虫歯や歯周病の原因となり、歯の表面や歯と歯の間、歯と歯茎の間に多く見られます。その細菌の密度はプラーク1gあたり1,000億個以上とも!食後4~8時間程度で食べ物や飲み物がお口に残ったものを餌にしてお口の中の細菌がプラークを作ります。
歯茎が腫れる原因は、プラークの中に存在する菌が毒素を出して、歯茎や歯を攻撃しているからです。攻撃された方は悪者をやっつけようと戦います。歯茎の腫れは、プラークからの攻撃に歯茎の免疫力が立ち向かっている証拠なのです。プラークのせいで歯が腫れている場合は、敵の要塞であるプラークがなくならない限り、腫れは治まりません。
プラークは水に溶けにくく、粘着性も高いためお口の中を水でいっぱいにしたり、うがいしたり等の水攻めもほとんど効果は効きません。歯のねばねばをブラシで磨いて落とす歯磨きが一番効果的です。
(2)ストレスや疲労などによる免疫力の低下
疲れやストレスは、体の調子に影響を及ぼします。疲れがたまったりすると風邪をひきやすくなったり、肌や髪のはりや艶がなくなったりというのは、経験している人もいるのではないでしょうか。
疲労やストレスを多く感じてしまうと、同じように歯磨きをしていても、体の中で戦ってくれる免疫部隊も弱っているので、敵の攻撃を制圧できなくなるのです。唾液の自浄作用でカバーできなくなったり、自分の免疫力によって安定していた歯周病菌が不安定になり暴れ出すことで、歯茎への攻撃が強くなったりしてしまいます。
(3)歯肉炎、歯周炎
歯肉炎は歯茎のみが炎症を起こしていること。歯周炎は、歯茎だけではなく歯を支える歯槽骨という顎の骨にまで炎症が進行していることを指します。プラークがずっと同じ所に留まったり、歯石になって硬くなったりしてしまうと、歯茎の腫れも慢性化してしまい、ぶよぶよとした状態になってしまいます。
腫れている部分やぶよぶよと引き締まっていない部分は、さらにブラッシングが難しくなりケアが行き届きづらくなることもあります。特に歯と歯茎の間の歯周ポケットは汚れが取りづらいため、不潔な状態を放置すると、時間の経過とともに症状が悪化してしまうのです。悪化した歯肉炎・歯周炎は歯ブラシだけでは対処が難しいため、歯医者さんでのクリーニングと除菌をお勧めします。
(4)親知らず
親知らずは、10代から20代ころに生える一番奥の歯。お口の中の隙間が足りていない状態で生えてしまうことが多く、その影響で斜めや真横に生えてしまったり、手前の歯とぶつかったりと一筋縄ではいきません。親知らずの周囲が腫れている原因は、親知らずの生え方や他の歯との接触加減、行き届かない清掃などが原因です。 親知らずはまっすぐ生えていない、半分埋まっている、全部が埋まって横に生えているなど様々な状態があります。特に親知らずが表面近くにある場合、歯茎が隆起して親知らずの丘のような部分ができてしまいます。その周囲にできる大きなくぼみや、斜めに生えてきた時に、歯の陰に隠れた部分などに汚れが溜まり不衛生になります。お口の深い部分になるためなかなか掃除が行き届かずに、溜まった汚れが原因で炎症になってしまうことも多々あるのです。また、歯の根っこが押されて炎症になってしまうこともあります。親知らずが腫れの原因の場合は、放置しても治ることはありません。腫れから痛みにつながることもあるため、早めに歯科医院へ相談することをお勧めします。
(5)歯根が割れている
歯茎の中で歯が食いしばる力に耐えきれず、歯の根っこが欠けたり、割れたりする場合があります。そのことを歯根破折と言います。割れてしまった部分に細菌が感染して、炎症を引き起こしてしまう場合があるため、心当たりのある方は、炎症が大きく広がる前に早めに歯科医院へ受診しましょう。神経がある歯であれば、歯が凍みたり、噛むとずきずきと痛むため早めにみつけることができますが、神経がなければ、折れた部分から細菌に感染して歯茎が腫れたり、歯茎から膿が出てきたりするという症状が出てきます。
歯根破折になってしまうのは、ぎゅーと歯を食いしばったり、歯ぎしりをしてしまう癖がある方に多いようです。寝ている間に歯を歯ぎしりや食いしばりから守る、マウスピースなどの装着での予防も可能です。また、激しいスポーツで歯を衝撃から守るマウスガードも有効です。
(6)薬の副作用
行き届いたお口の清掃を行っていても、薬の副作用で歯茎が腫れてしまうことがあります。そのことを薬物性歯肉肥大、薬物性歯肉増殖と呼びます。お薬での副作用などで、歯茎の腫れが出てしまうことがあります。
お薬の変更が難しいことが多く、歯の清掃状態が悪いとさらに重症化してしまうことがあるそうです。歯茎に影響を与えるお薬を服用している方は、定期的に歯科医院でのクリーニングで除菌を行うようにしましょう。
2.自分でできる歯茎の腫れの対処法
(1)除菌をする
腫れの原因が歯周病菌などの細菌である場合、フロスなどを使って丁寧にケアを行った後、お口の中を除菌することで腫れが治まる場合があります。口腔環境の悪化により、悪い細菌が元気になることで、腫れが発生してしまうのですが、市販のうがい薬などでうがいをすることで、ある程度細菌の動きを抑制することができ、歯茎の腫れを抑えることができます。
(2)体調を整える
体に疲れやストレスがたまっている時にも、いろいろな不調が起きます。歯茎の腫れは不調の症状の一つです。疲れによって体の抵抗力や免疫力が衰えることで、今まで唾液の自浄作用やセルフケアでコントロールできていた口腔環境のバランスが崩れてしまうのです。
バランスの良い食事をとり、ゆっくり休んで体調を整えてください。健康な体でいると、抵抗力も免疫力も高い状態を維持することができます。お口の中も体の健康と密接につながっているのです。
しばしば歯茎の腫れは痛みの前兆になります。歯磨きをし忘れた翌朝や免疫力が低下しているときなど、一時的に歯茎が腫れている場合は問題ないのですが、腫れがなかなか収まらなかったり、違和感が続くときは早めに歯医者さんへ相談に行くことをお勧めします。
痛みは体を守る予防線。気になる痛みや腫れ、違和感はそのまま放置しないことが大切です。 自分を守るのは、自分自身。運動をしたり食生活を整えることで、健康を維持できるように、歯磨きや上手なフロスの仕方を覚えることで、歯や歯茎の健康を守ることができます。お口の中をなるべく乾燥をさせないように、こまめに水分を取り、よく寝て歯と歯茎の健康を維持しましょう!