舌は味を感じるセンサーですが、やわらかくなった桃の果汁のように唾液も味を感じやすくするためにとても重要な働きがあります。今日は、唾液が実際にどんな働きをしているかまとめてみたいと思います。
食べ物の飲み込みを助ける
きな粉たっぷりのお餅や、クラッカーなどをたくさん食べると、唾液がたくさん持っていかれて、飲み込みづらくなりますよね。唾液はものを飲み込むときに必要なものです。食べ物はいろいろな大きさ、形でお口の中に入ってきます。何回か噛むことで、小さな塊になり、その後お口と舌の動きで喉の奥まで運ばれて、飲み込でいるのです。水分がある食べ物ももちろん、乾燥したものでも、小さくなった食べ物を飲み込める大きさにまとめて、飲み込みやすくしてくれるのが唾液です。
味をわかりやすくする
昔、桃狩りに行ったときに採れたての桃の硬さに驚いたことがあります。同じ樹から採れたものだったら、採れたての新鮮なしっかりした桃も、時間がたって柔らかくなった桃も糖度はほとんど変わらないそうです。でも、やわらかい桃の方が、舌にくっつきやすくたくさんの範囲で甘みを感じることができるようになるため、より甘みがあると認識するんだと、農家の方が教えてくれました。
食べ物は水分量が多い方が味を強く感じることができます。舌に触れる面積が増えるためです。どんな食べ物でも咀嚼しながら、唾液と混ざり合うことによって味を良く感じることができるようになります。
洗浄作用
唾液は、99.5%が水分でできています。実は、1日1リットル以上排出されていて、特にお口の中の細菌、ウイルスを洗い流してくれる働きがあります。緊張時や、水分が足りなくなったときなどに、自分の口臭が気になったことがあるという方もいると思います。唾液は細菌の増殖を抑えてくれたり、食べたものの匂いを和らげたりする働きがあります。お口の中の唾液量が少なくなるとこれらの働きが弱くなり、洗浄する力も弱くなってしまいます。その結果、口臭の匂いがきつくなってしまうこともあるのです。
お口の中の細菌は、乾燥が大好き。歯もお口の中も唾液の水分によって守られています。そのため唾液の分泌が10分の1になってしまう就寝時は注意が必要です。就寝前は、特に歯磨きを丁寧に行ってお口の中にある食べ残しや、細菌の量を減らすことが大切になります。
保護と修繕
唾液には、一度溶けだしてしまった歯を元に戻す修復の機能があります。唾液内の成分にはカルシウム、リン酸、フッ素イオンなどが含まれていて、傷ついた歯のエナメル質を修復することができるのです。それを再石灰化といいます。少し溶けて弱くなりかけた歯を修繕してくれるので、歯を守る強力な味方になってくれます。 また、歯が唾液によって守られていると、コーティングされているように虫歯菌の出す酸から保護してくれるため、初期むし歯からも守ってくれます。
緩衝作用
食べ物を食べるとお口の中は酸性に傾きます。それは、お口の中にいる細菌が食べ物の中にある糖分を餌に、酸を生み出すからです。唾液には、重炭酸というものが含まれていて、お口の中で作り出された酸を中和して、中性に戻す働きがあります。そのため歯の表面が唾液に触れている間は、むし歯の原因となる酸が中和され、むし歯になりにくくなります。それを緩衝作用と言います。
赤ちゃんは体の大きさに比べて唾液の分泌量が多いため、むし歯になりにくいことも分かっています。唾液によって歯が守られているからなんですね。
唾液は、温泉のように少しずつ出ています。唾液のpHは平均6.8~7.0で中性に近い弱酸性となっています。飲食時にお口の中を取り込んでも、唾液が少しずつ出ていることで、酸を洗い流してくれる作用によって守られているのです。
唾液は、お口の水分バロメーターです。お口がカラカラなのは、体の水分が足りていない証拠です。よく水分補給をしたり、食事の時に噛む回数を意識的に増やしたりすることで、唾液も体の水分量も保つことができます。
赤ちゃんの虫歯感染予防
お口や歯を守ってくれるだけでなく、食べ物のおいしさをより感じやすくしてくれたり、外から来たウイルスをやっつけてくれたり、私たちの体にとって良いことがたくさんあります。体もお口も守ってくれる唾液。身近にありすぎて、意識することはないですが、たくさんの働きがあって、私たちを守ってくれていることを忘れないでくださいね。
プラザ若葉歯科では、ドライマウスなど唾液に関する悩み相談なども行っています。気になる方は、いつでもご連絡ください。