綺麗な発音のために大切な歯!!

会話をする女性

もう少しで2歳になる私の娘は、とても上手に「アンパンマン」を言うことができるようになりました。子供の成長を目の当たりにしていると、発音しやすい音と言いにくい音があることがとてもよくわかります。言葉の発音にとって重要なのはお口と舌だけではなく、歯も大きな役割があります。今日は、歯と発音・滑舌の関係性についてお話しします。

歯が必要な発音

あー、いー、うー、えー、おー、と口に出してみるとわかりますが、母音はお口の形を変えるだけで発生できる音です。それ以外の音は、舌が触れる場所や声を発生するときの口の形で音が生まれます。 音を作り出すのに、舌が触れる場所で音が変わるのですが、舌が歯に触れてできる音のことを歯音(しおん)と、舌が歯茎に触れて出る歯茎音(しけいおん)というものがあります。歯音は、日本語では該当する発音はないようなのですが、英語でいうと「歯で舌を挟んで―」と言われるthの発音などがこれに当たります。日本語で歯が必要な代表的な発音をご紹介します。

サ行・ザ行・シャ行

サ行は、舌が直接歯に触れるわけではないですが、上下の歯の間から息を出しながら発音をします。そのため、息を出すための隙間を作る歯がなければ「さ・し・す・せ・そ」の音が出せません。歯と口を開いたままだと「お寿司」と発音することはできません。だから、歯が全部なくなってしまったら、「お寿司が食べたい」と誰かに伝えることが難しくて、もどかしい思いをするかもしれません。

タ行

 タ行は舌先を上の歯茎の裏側につけ、舌を離すときに息を出すことで出る音です。歯と歯茎の間あたりに舌が触れて、勢いよく話すときに出る音のため、土台となる歯はとても重要になります。

歯並びと発音の関係

かみ合わせが悪く、噛んでも上下の歯の間に隙間ができている場合、隙間から出る息を利用するサ行やタ行はとても発音がしづらく不完全な音となってしまいます。

また、下あごが前に出ていると同じように舌と歯や歯茎との間で出す音であるサ行音、ザ行音、ッ、チなどに異常が生じやすくなります。

発音しにくい言葉

発音がはっきりしない状態のことを「舌足らず」と言ったりします。うまく発音ができない音に「サ行」「タ行」「ラ行」があげられます。これらの言葉は舌の動きがとても重要です。舌の正しい位置の習得と使い方がとても重要です。

舌の異常による発話のしづらさ

口の中や耳の働きに異常がなくても、言いづらいなーと思う言葉があれば、舌小帯異常症といって舌と下あごをつなげている舌小帯がひきつれている場合があります。これは見逃されやすく、言葉に言いにくさが出て初めて気が付くことが多いのです。

トレーニングだけで症状が良くなる場合と手術が必要な場合があります。

歯並びに悪さをする発音

ラ行やタ行を離すときに、舌が歯を強く推す癖がある方は要注意です。歯はかみ合わせや、歯の位置関係によって日々少しずつ動いています。歯が抜けてしまったときに、両隣の歯が傾いてきたり、かみ合わせの反対側の歯が出てきたりするのです。歯は微弱ながらも継続的に力が加わると、ずれていきます。舌が歯に当たる発音をしたり、常に歯が舌を押しているような癖は歯並びを悪くしてしまいます。舌の力は思っている以上に強いのです。

 正しい発音は、きれいな歯並びを維持するのにとても大切です。特に歯列矯正をした後も、正しい発音で発生できるようにトレーニングをお勧めします。

英語と日本語のトーンの違い

吹き替えと切り替えができるテレビドラマを見ていて、日本語の声優さんは全体的に声が高いんだなーと気が付いたことがあります。実は、そうではなく日本語と英語では発音の時に使っているお口や舌の動きが全然違う為、声の高さも変わってしまうようです。まったく同じ人が日本語と英語を話しても、日本語を話すときの声のトーンの方が高くなるので、試す機会があれば聞き分けてみてくださいね。

普段は気にしない発音でも、初めてお会いする人の言葉が聞き取りづらかったら気になってしまいますよね。聞き取りやすい正しい発音は、素敵な魅力の一つになります。そして、歯にとってもとても重要です。

 お口の異常による話ににくさ、発音のしづらさが気になったらかかりつけの歯科医院へご相談ください。プラザ若葉歯科では、いつでもご相談お待ちしています。