今日は、気になる海外の記事をピックアップしてご紹介します。今回の記事は、「自宅で手軽に行えるホワイトニング剤として、塩や重曹は使用してはいけないよ!」という記事です。
食べ物や飲み物を取ることによって、お口の中に汚れがたまるだけでなく、飲食物そのものの色素が歯に沈着していくということはよく知られていると思います。コーヒー、紅茶、赤ワインなどの飲み物や、カレーライスやミートソースなどの色の濃い食べ物によって、少しずつ歯に色味が移っていき、歯磨きだけでは取れなくなってしまうのです。そこで、自宅で簡単にできる着色汚れのクリーニングやホワイトニング方法として話題になっている、「塩や重曹を歯磨き剤として使用することでホワイトニング効果を得る」ことに警笛を上げている記事がこちらです。
If you use salt or baking soda to whiten your teeth, here’s why you should stop
https://edition.cnn.com/2019/10/03/health/salt-baking-soda-teeth-whitening-wellness/index.html
記事を簡単に要約すると以下の3つのポイントに整理できます
- 塩でのブラッシングがホワイトニングに効果があるとした科学的根拠はない
- 塩も重曹も歯のエナメル質を浸食するため、研磨剤として使用すると大きく歯を傷つけ、虫歯を誘発する。(浸食して溶かされたエナメル質は、元に戻ることはない)
- 効果的なホワイトニングは、人によって違うため専門家に相談するのが近道!
一昔前までは、「歯は塩で磨けばよい」ということが言われていました。私も年配の方に、「歯は塩で磨けばいいんだよ」と言われたことがあります。また、重曹もベーキングソーダとして食品にも使われるもので安全であり、さらに研磨・漂白の作用があることから、ホワイトニングの効果があるのではと、歯磨き剤として使用したり、話題に上がったりすることもあります。一見、塩も重曹もどちらも食用として使っている素材なので、歯磨き粉として使うことも、問題ないように感じるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。体にとって有毒な成分はないとしても、歯自体に与えるダメージが大きいようです。
記事にはこのように書かれています。
「実際に歯が塩や重曹にさらされると、歯の表面のエナメル質が浸食されてしまいます。歯のエナメル質は、床のコーティング面に例えることができます。(それと同じように)歯の表面にあるエナメル質も薄いですが丈夫であり、1本1本の歯を守る役割があります。しかし、エナメル質の表面が塩などの刺激物によってすり減ってしまうと、歯垢の中に潜む細菌が、(すり減った部分から)素早くに歯の内部に浸透し、そこで虫歯を引き起こす酸を生成するのです。」
記事に記載されているように、塩や重曹で歯を磨くことで得られるメリットはありません。粒子の硬い研磨剤で歯を磨くことは、コーティングされた床をやすりで磨くことに例えられています。汚れがあるからといって、あらいやすりで削ってしまうと床のコーティング面がはがれてしまいます。床の場合は、はがれた部分にコーティングを行えば修復できますが、傷がついた歯のエナメル質は、修復できません。歯の表面だけでなく、デリケートな歯茎やお口の粘膜が傷つくこともあります。塩や重曹がもたらす有益性が取り上げられることもありますが、長期的な視点で見ると、実際は有害性のほうが高いのです。
- 歯や歯茎が傷つけられてしまうこと
- 歯の表面を守るエナメル質を溶かしてしまうこと
記事の中では、(ADA承認シールのある)米国歯科医師会に認められた歯磨き粉を使用して、歯ブラシによるブラッシングと歯の間のフロスを定期的に行うことが、歯を白く健康的にするのにとても重要な方法だと言っています。そして、さらに歯を白くしたい方には、歯科医院での相談が有効だとも。肌や髪の質に個人差があるように、歯質や特性も個人差があるため、人それぞれに効果的なホワイトニング方法があります。信頼できる歯科医院で相談をすることで、より個人の歯質や生活環境に合わせたホワイトニングの提案と実践ができ、健康で長期的な白い歯を手に入れることができます。
ホワイトニングの効果や種類についてはこちらで詳しく説明しています。
インターネットの情報や、販売されているホワイトニング剤(日本ではあまりまだ認められていませんが)を信用して、自宅でホワイトニングをするよりも、歯科医院でプロフェッショナルに相談するほうが、安全で質の良い白い歯を長く維持できます。
輝く白い歯は、健康と笑顔の象徴です。興味がある方は、よりよい笑顔で自分も周りも照らすことができるように、ぜひ歯科医院にホワイトニングの相談にお越しください。